ユーフォの場合 一般の楽器の場合

ユーフォニアムの楽譜には2種の書き方が存在しています。 ト音記号で書いてあるものとヘ音記号で書いてあるものです。

ト音記号のものを見るとin BbもしくはBaritone T.C.等とかかれています。 in Bbとはそれが移調して書かれていることを示しています。 具体的には記音の「ド」の音が、実際に吹いた場合には「シb」になるように書かれています。 T.C.はTenor Clefの略です。

ヘ音記号のものはin CまたはB.Cと書かれています。 in Cはそれが実音そのままであることを示しています。 記音の「ド」を演奏すると「ド」がなるようになっているのです。

これら二つの記譜法がほぼ同じくらい存在している変わった楽器がユーフォニアムです。 他の楽器では記譜法は、吹奏楽の場合ほぼ統一されています。 オーケストラの楽譜では、読み方が曲中で変わることもあり、読み替えの訓練などを積むことが必要とされています。 金管バンドの楽譜は、ほぼすべてのパートがト音記号の移調譜で書かれています。

ユーフォニアムに関して言えば日本で吹奏楽のみを演奏する場合には実音読みのin Cの楽譜を用いて何の不便もないでしょう。 しかし、さらに高度なものを念頭に入れるならば、in Bbの楽譜は当然読めるようになることが必要でしょう。 実際、金管バンドの盛んなイギリスで出版された楽譜ではin Bbの楽譜しか入っていないものも多くあります。 また、ジャズなどの分野ではト音記号でin Cの楽譜(ピアノと全く同じようにして読み演奏する)も多く用いられています。 また、高音域の楽譜をハ音記号(in C)で書いたり、ト音記号(in C)で書いたりすることもあります。


管楽器のほとんどは移調楽器です。 管楽器は管の長さによって調が変化し、昔は同じ楽器でも様々な調の楽器が存在していました。 それは、演奏上の困難をなくすためという理由がほとんどですが、微妙に異なる性格の吹き分けにも用いられていたようです。 金管楽器では、ヴァルヴ発明以前トランペット、ホルンなどはクルークと呼ばれる継ぎ足し管によって管の長さを帰ることによって調性を変えるか、楽器自体を交換するかによって調性を変えていました。 現在でも、ピッコロトランペットなどでは替え管を一緒に売っているものもあります。

昔木管楽器が今のようにたくさんのキーがついていなかった頃、その管の長さにあっていない曲を吹くことは音程の面から言って非常に困難なことでした。従って、木管楽器ではBb管、A管、C管というように様々な長さの管の楽器が用意されました。 これらの違う調性の楽器ごとに、いちいち指使いを覚えることは面倒なことでした。 しかし楽器側で調節するのではなく、楽譜の側であらかじめ音程を調節して書いてしまえば、指使いを楽にすることができました。

ある周波数を持った音を出すための指使いはそれぞれの楽器によって異なっています、 実音と指使いの対応はとれていません、しかし譜面上書いてある音符(記譜)と指使いの対応をとるようにしたのです。 つまり、A durをA管の楽器で吹くのには移調ドの「ドレミファソラシド」と思って指を動かせばその音階がふけるように楽譜の側を調節するのです。 いまでこそA durの曲をBb管の楽器で吹くようなことはよくありますが、 昔は前に書いたような理由から管の長さの違う楽器を持ちかえることが自然と行われていました。

いま、一般に用いられている記譜法は、そのような時代の、演奏者が楽に演奏できることを考慮に入れた記譜法の名残であると考えられます。

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