一番最初のトランペット(というよりもラッパ)は、新石器時代に現れたメガフォーン型のラッパであるといえます。 これは全ての金管楽器の共通の祖先としてあげることができますが、現代でも使われるようなタイプの金属製のものはすでに古代エジプトの頃にできあがっていました。 これは紀元前15世紀から後のエジプトのレリーフや壁画などに見ることができますが、この存在はツタンカーメン王の墓で2本のトランペットが発見されたことによって確認されました。 現在はカイロ博物館に所蔵されている2本のトランペットは銀製の58cmのものと、部分的に金を用いた青銅製の49.4cmものでした。ベルには王の名前と、主な師団の聖なる紋章が刻まれていました。破損を防ぐために吹かれないときには木製の棒を中に挿入していたとのことです。 このころはマウスピースはまだ用いられておらず、金属製のリングが口元にはめ込まれただけの簡単なものでした。 このころの材質としては金、銀、青銅、真鍮、土器、貝、象牙、木、樹皮、竹、ひょうたん、など非常に主種雑多なものであったとされています(一部は現在でも様々な種族によって用いられています)。

このころのものは当然ホルン、トランペットという区別の難しいものですが、よりトランペット的なものとしては、旧約聖書時代イスラエルにあったヒャショゼラー(Hasocera)、ヨーベル(Jubel)という20cmぐらいの長さの直管ラッパ、アッシリアの時代の壁画などに描かれている直管ラッパなどがあげられるでしょう。

しかし、さらに現在のトランペットに近いものとしては、ギリシャ・ローマ時代になって現れた、サルピンクス(Salpinx)、ローマではトゥーバ(Tuba)、またはリトゥス(Lituus)と呼ばれるものがあります。これらの楽器は先程述べた20cm程度の長さのものとは違って1mを超え、角と金属を継ぎ合わせて作られ、マウスピースは楽器から分離できるのものを使用していました。また、そのマウスピースは青銅を鋳造して作られており、バックボア、チョーク、カップがあり現在のものの原型であるといえるでしょう。 ローマではアエネアトーレス(aeneatores)と呼ばれる金管奏者が使っていました。

それ以前に(通説では紀元前6〜10世紀)、北欧ではルーレル(Lurer)または、ルール(lur)と呼ばれる2本1組として使われるラッパもありました。これは円錐形の管であったためコルネットの祖先として考えることができますが、形状的にはS字型をしておりトランペット、トロンボーンの祖先と見ることもできます。 管そのものにはベルが無く、2本のうち大きな方には青銅製の太陽をかたどった円盤が付属しています。 また、これにはローマ時代以前に唯一知られているマウスピースが使用されています。 ルールはスカンジナヴィア地方では通常ホルンやアルプホルンを指す言葉でしたが、楽器が発見されてからは有史時代以前の楽器を指す言葉として用いられるようになりました。

中世に入ってトゥーバ、リトゥスはアラビアの影響を受け管長が徐々に長くなり、管型は円筒に近づいていきました。 中世初期にはこれらの円筒形のトランペットはクラーロ(Claro)、ブジーヌ(Buisine)と呼ばれました。

ローマ人は曲がったトランペットを作っていたとも言われています。ベーンは墓石に刻まれた2つの例を示してこれをブキーナ(bucina)と名付けましたが、これは通常使用されることはありません。

ローマ軍でよく用いられた楽器としてブッチーナ(buccina 古ラテン語では通常「ブキーナ bucina」)があります。法螺や羊飼いの角笛などの信号用小型楽器を指す言葉として一般的に用いられました。ローマ軍ではコルヌ奏者やトゥーバ奏者とともに地位を得ていたとされています。管は円錐形でマウスピースを持ち、ベルは上方を向いているものの全体としては、まっすぐな形状をしています。 用いられ方としては、軍の「すすめ」の合図をブッチーナで、止まれをトゥーバで吹いたとされています。これによって戦死者の数が減少したとのことです。

12世紀頃、北イタリアでローマ時代のトゥーバがそっくりそのまま復活されました。 ローマ時代の、様々な風習とともに楽器も復活されたのです。このころ、銀製のトランペットは贈り物として法王に定期的に献上され、儀式の際に用いられました。 また、当時ビザンティウムではトゥーバが長い間使用されており、イスラムで発達したトランペットはヨーロッパに第3回十字軍の頃に逆輸入され、中世の西洋トランペットの様式となりました。

1240年頃、イタリアのフレデリック2世がアレッツォの町に4本のトゥバエ(tubae)と1本のトゥベクタ(Tubecta)という楽器を贈りました。トゥベクタはトロンベッタ(トランペット)を指す俗称であります、これが後のトロンベッタ(Trumpet)あるいは、ダンテの詩に初めて現れるトランペットという語の起こりであると考えられます。実際にはトゥベクタという語もローマ時代のトゥーバの縮小形なのでトゥーバが語源であるという考え方もできます。トゥベクタと呼ばれる楽器がどのようなものであったかは全く不明です。

現在のトランペットにもっと近づいたS字型の管を持つ楽器は、1400年に最古の資料があります。 これは、この14世紀の頃、高音域の倍音を好むようになったためと考えられています。 このため、今まで用いられていた短いトランペットは少なくなっていきました。 そして、その30年後には現在と同じ巻管のものが現れました。これらの楽器は現在のものよりもベルが小さく、管が肉厚にできており、マウスピースが重く、他の楽器との音量バランスのとれたものであったと考えられています。当時、巻管の楽器はクラリオン(Clarion)、直管のものはトロンバ(Tromba)と呼ばれていました。

1511年の木版画にはフェルト・トランペット(Felt-Trumpet)とクラレータ(Clareta)という2種のトランペットが見られます。フェルト・トランペットは屋外用の野戦楽器、後者は音のはっきりした室内用の楽器でした。室内用の楽器であるクラレータは当時力の強かったギルドによって特権的に使用されていた楽器で、非常に高い倍音を吹くことを特長としていました。この傾向は19世紀まで続いた俗に言うバッハ・トランペットへと進化しました。

管長を変えることのできなかったナチュラル・トランペットに対して最初の改良が15世紀に行われました。これはマウスピースのパイプ部分を長くして管長をコントロールする手法でした。 これがクルーク・システム(継ぎ足し管)に発達し、さらに19世紀ウッドハムによって完成されたスライド・トランペットへと進化しました。 スライド・システムがトランペットに採用された最古の実例としては、1651年制作の楽器がベルリンの博物館に所蔵されています。この楽器のサイズはニュルンベルクで作られていた通常のトランペットと一致しています。ピッチはコールトーンのニ調です。 実物は残っていないものの15世紀の初期には中音域で完全な音階が演奏できるスライド・トランペットが発明されていたと考えられています。それは、そのころの明確な日付のある楽譜にトロンペッタ、トゥーバの語句がその音域で使用されているからです。 16世紀に入ってから現れたスライド・トランペット、それはトロンバ・ダ・ティラルシ(Tromba da Tirarsi 現代イタリア語では trombone a tiro、スライド・トロンボーン)と呼ばれ、音程をスライドによって最大長3度下げることができました。これは1723年以前にライプツィヒにいたバッハやクーナウのカンタータに記されているのみです。

17〜18世紀頃、ヨーロッパにおいて大変盛んになった楽器にクラリーノ(Clarino)があります。これは、トランペットをホルンのようにまき(クラリオンの発展したものと思われます)、3つの穴をあけそれを指で操作して音程を変えるというものでした。

これらとはまた別の試みとして、1760年にホルンに対してキー(鍵)をつける試みがありました。 また、1760年にドイツ人のケールベルがクラッペン・トランペットを発明しました。 これはトランペットの形をしながら穴が4つあけられており、そこにキーをつけたものでした。 ハイドンのトランペット協奏曲はこのような楽器の穴が6つあいたもののために書かれました。 1801年にヴァイディンガーによっても、トランペットにもキーがつけられましたが、音色、音程への影響が大きく不成功に終わりました。

また、トランペットにおいてハンド・ストッピングを行って音程を変える試みもなされました。 (詳しくはここを参照)

1788年にはイギリスでクラジェットがトランペットにヴァルヴを一つ追加して管の調を半音変えることに成功しました。この成功によって彼はイギリスのパテントを取得しています。

1820年頃からこのようなヴァルヴがトランペットに応用され、1850年には完全に普及しました。(ヴァルヴ・システムの発展についてはここを参照)

ヴァルヴ・システムのトランペットは最初EbとBb管が、主流であったが、低音楽器としてテナー、バリトン、バス、コントラバスといった楽器も作られた。 1850年頃からはF管のアルト・トランペットも作られた。これらのトランペットの中で現在でも残っているものはBb、C管のトランペット、バリトン・トランペットからワーグナーが改良した現在で言うバストランペットの3種である。D、Eb管のピッコロ・トランペットは以前はまれにしかも値いられるものではなかったが、さらなる改良の末、Bb管のピッコロトランペットにまで進化しました。

index