PartI,II,III

音質を向上するために,ほとんどのユーフォニアムの演奏ではビブラートが用いられる. いくつかのビブラートをかける方法がある,横隔膜を用いる方法,のどと顎を用いる方法,どの 身体の部分を用いてもそれを生み出すことはできる. 私は顎でかけるビブラートを好む,それは普段スムーズに,コントールされたビブラートができるからである. そして,若い演奏者のアンブシュアが堅くなりすぎることを抑制するからである. ある一般的な指針ではあるが,ビブラートの速度と幅はしっかり観察しなくてはならない. よい録音はユーフォニアムのソリストのものばかりではなく弦楽器や歌手によるものまで有効である. これらの録音は学生が様々な速度やスタイルによるビブラートを聞くのに役立つであろう. 異なる時代や様式の音楽は異なるタイプや速度,幅のビブラートを使わなければならない. 劇的な燃え立つようなフレーズには,より速い,幅の狭いビブラートの方が, 叙情的なパッセージやブルースに用いるような遅いビブラートが,よりふさわしい. いくつかの音楽形式には,ビブラートを全く用いない方が望ましい. 普通のビブラートの平均的な速さは一秒間に5から7回であろう. やりすぎた,幅の広すぎる,音のゆがんだビブラートにならないように注意しなさい. ビブラートは常に音楽的な効果と音の美しさを増すように用いるべきである.

ユーフォニアムは音楽記述上,長い間オーケストラにおけるチェロに対応して書かれてきた. オーケストラの編成を考慮して書かれた,もっとも初期の記述には,そのような比較は適当である. コンサートバンドが市民権を得ると,ユーフォニアムはすぐに, すばらしい表現力と豊かな響きの音色を持つソロ楽器として認識された. スーザバンドのユーフォニアム・ソロイスト,シモーネ・マンティアは, 他の(スーザ・バンドの)ソロイストと同様によく知られていた. トロンボーンのアーサー・プライアー, コルネットのハーバート・クラークらである. これらの人物は自分の楽器を演奏し全世界の聴衆をわくわくさせるだけでなく, 自分が演奏するための作曲や編曲すらこなした. これらのソロは通常当時の流行りの曲やテーマを含んだテクニカルで旋律の美しい変奏であった. 今世紀の初頭,これらの聴衆を楽しませるソロはユーフォニアムでは唯一のオリジナルの曲であった. 真剣なユーフォニアム吹きの学生は他の管楽器や弦楽器,あるいは歌を強引に拝借し,吹いていた. これらの幅の広い,バラエティーに富んだ音楽様式の曲の編曲が ユーフォニアム奏者が様々な様式や時代の音楽を演奏する際の助けとなった.

後の数十年間は何人かの作曲家がユーフォニアムのオリジナルの曲を書いている. 輸入されているフランスの出版物はサクソルンという名称でユーフォニアムを用いている. 大学の作曲家達は今世紀の中頃,新しい音楽の作曲に興味を示した. 私はこの興味が続き,育つことを願っている. この新たな興味によって,新たな演奏の分野が,教養のある教育されたユーフォニアム奏者の前にコンサートを開く演奏家の前途としてひらけるだろう.

だから,私は「何を演奏されるのですか?」と尋ねられたら, 「私は金管楽器の一種を演奏しています.それは豊かで深い音色を持ち楽団において 重要な役目を担う楽器です.そして,リサイタルやコンサートを行う楽器の中で, 計り知れない能力を秘めている楽器.私は,そんなユーフォニアムという楽器 を演奏しています.」 こう答えるのが,たぶん一番よいと思うのだ.
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